なぜ「駅」なのか?
- Station Endeavor
- 2024年8月11日
- 読了時間: 10分
需要などないかも知れませんが、管理人の「想い」を。
少し長いですが、しばらくお付き合い下さい。
このウェブサイトは鉄道関連であることは間違いないのですが、ご覧の通り、「駅」に特化しており、「鉄道車両」をほとんど扱っていません。
車両が好きな方には、少し物足りない内容なのかも知れませんね。
そこで本日は、「何故駅なのか?」について、勝手ながらそのキモチを綴っていこうと思っています。
【1】「あなた、鉄道が好きなの?」
好きです。
小さい頃から鉄道系の雑誌や時刻表、Nゲージの収集、鉄道を使った旅行、車両の撮影など、鉄道関連の趣味はいっぱい持っていました。
だから長い間、「自分は鉄道ファン」と思い込んで来ました。
【2】鉄道博物館で感じた事
神田の交通博物館が閉館し、さいたま市の交通博物館が開館した際、もちろん大喜びで来訪しました。
所狭しと立ち並ぶ、鉄道車両。
楽しい、けれど何か違和感を感じました。
その後、何度か来訪しましたが、その度に「何か物足りない」と考えていました。
鉄道好きなはずの自分が、「大喜び」「大はしゃぎ」出来ない理由の正体が、何なのか。
【3】違和感の正体
鉄道博物館では毎回イマイチ乗り切れない自分。
その正体を考えてみると、「鉄道車両」たちが「静態保存されている事」だと気づいたのです。
自分は、「鉄道車両そのもの」ではなく、
「動いている車両」
「鉄道が我々を運んでくれる先の、様々な街」
「車窓から見える風景や街並み」
「移動中の列車の揺れ」
「鉄道で移動する旅行そのもの」
が好きなのだ、と。
「鉄道車両に興味がない」のではありません。
必ず「鉄道車両とセット」で、「旅行」「移動」「風景」「目的地」を楽しむ事が好きだったのだ、と。「動く鉄道が好き」なんですね。
【4】「駅周辺」「街」が好き
私が好むのは「移動や旅行」「風景」「街」です。
そして街は「鉄道駅周辺」に広がる事が多い。
賑やかな街。煌びやかな街。静かな街。寂しい街。
色々な街がありますが、どんな街でも好きです。
なぜならば、どんな場所にも「歴史」「誰かの思い出」が染み付いていて、「人々の営み」に想いを馳せる事が出来ます。
そして、「街」は明治時代以降「駅の周辺」に出来る事が多かった。
(街の中に駅を作ったケースもあれば、駅を作ってその周りに街が出来たケースもありますが、多くのケースで「駅と街」は密接しています)。
【5】誰もが駅を使い、駅の思い出を持つ。
だから「駅」は、鉄道ファンだけのものではありません。
例えば今はもう車にしか乗らない人でも、若い頃は鉄道を使い、駅を使いました。
鉄道に全く興味のない人だって、例えば通勤だけに使うビジネスマンも、通学に使っているだけの女子高生も、「誰にとっても駅は大切な場所」です。「誰にでも関係のある場所」という事です。
そして、誰もが「駅の思い出」を持っているはずです。
小さい頃、まるで大波の様に行き交う大勢の大人の人の中で、迷子になりそうな不安で必死でママの手を握りしめた思い出のある駅。子供の頃、初めてワクワクしながら動物園に連れて行ってもらったあの駅。大好きな遊園地の入り口まで、思わず溢れる笑顔と急ぎ足で駆け抜けたあの駅。何気なく毎日利用しながらも、大学に合格して上京する時に家族や友人に見送られて、少し寂しい気持ちで旅立ったあの地元の駅。初めて大好きな恋人と待ち合わせてデートをした甘酸っぱい思い出の駅。また、待っても待ってもあの人が待ち合わせに来てくれなかった切なさと共にあった駅。心傷ついて初めて一人で雑踏の中を彷徨った駅。あの頃の友達とワイワイ遊び呆けた駅。学校をサボって一人で映画館に入ったあの駅。田舎から上京してその人の多さに目を回し、同時に何かの希望を抱き、のちに絶望を抱えた駅。就職して普通に使う様になった駅。友人達が結婚を祝ってくれたあのお店のある駅。かつては会社の最寄り駅として何気なく使っていたけれど、今は行く必要がなくなってしまったこの駅。
大小様々でしょうが、「駅は誰の心にも残っているはず」と。「誰の心にも届けたい」と。
【6】私の正体
このプロジェクトを運営する弊社(株式会社都市データリサーチ社)は、実は「このために設立された新会社」です。
では、それまでは何をしていたのか?
実は私は、25年近く「学習塾」「予備校」「通信制高校」を運営して来ました(現在進行形です)。
なぜこの仕事を選んだのか?
当然「数多くの方々に社会貢献をしたいから」です。
それも「いくらでも選択肢がある都会」ではない場所で。
さらに「ほとんどの中高生にとって苦痛」である学習を、どうしたら楽しみに変えられるか?どうすればエンターテインメント性を持たせられるか?アミューズメントに変えられるか?というテーマを持って。
指導やサービスを通じて目標を達成したい中高生や保護者の方の願いを叶える、素晴らしい仕事だと考え、長年頭を捻ってきました。お陰様でこれまでに数千名の生徒さんと関わり、送り出す事が出来ました。
【7】「達成」出来ているのか?
これまでのキャリアには誇りを持っているつもりです。と、同時に。常に「自分の掲げた理念は達成できているのか?」という自問自答がありました。
①本当に「社会貢献」は出来ているのか?
②「アミューズメント」は本当に与えられているのか?
①に関して。
学習塾や予備校は、「学習をして目標をしたい生徒さん」と「その目標を支える経済的余裕のあるご家庭」という条件が合致した場合のみ、達成出来ます。つまり「かなり狭い範囲」への社会貢献は可能であり、もっと言えば「富裕層ビジネス」の一種です。
②に関して。
残念ながらほとんどの学生にとって「学習は苦痛」の様ですから、どうにかして「楽しく学習する」事を目的として様々なサービスを構築してきました。
しかし、どれだけ工夫しても、「皆さんの楽しい趣味」には敵いません。「塾と遊園地はどちらが楽しい?」なんて、尋ねるだけ愚問です。かつてある生徒さんが「楽しいと言っても所詮塾だし、結局勉強ですからね。どんなに頑張っても楽しくはならないです」と仰ったのを忘れません。
※これまでの会社ではなく、新会社を設立した理由も、「教育」という観念から完全に切り離すためです。どんな楽しいゲームでも、「教育の一環」みたいな事を言われたら、嫌がる方がほとんどですから。「桃鉄」だって、「学校の社会の授業の一環」となれば、面白さは半減すると思いますし。
自分の人生を振り返って、「完全に達成出来ていない」と考えました
。※なんなら、熱心にサービスを与えているのに、「嫌がる事を強要する」みたいな構図になって、一所懸命やればやるほど嫌われたりして、、、笑 もちろん「感謝」はしてくれますが、卒業後に全員が再び会いに来てくれるわけでもない。目的が達成されれば「用済み」になってしまう、なんていう悲しい立場でもあるわけです(中には結婚式に出席して欲しい、なんて元生徒さんもいますけど、そんなのは特例です)。「嫌われるのも、用済みなのもイヤだな」「純粋に楽しい、を与えたいな」と思ったのです。
【8】もっと広い範囲の人に「気持ち」を届けたい。
そんなわけで「出来る限り多くの人に、私の想いを、『楽しい』の形で届けたい」と考える様になりました。
現代では、「共通の話題」が希薄になり、コミュニケーションが以前より困難になって来ていると感じていました。
ネットの発達によって、趣味は多様化し、テレビの力も低下し、「みんなが同じ話題で盛り上がる」となると、なかなか難しい(かつてはテレビ局が6個しかなく、「人気のテレビ番組の話題」で翌日のクラスが盛り上がりましたが)。
コミニュケーション不足により社会の関係性が低下した様な気がしています。現代の世の中、全員がコミニュケーションが取れる話題がどれほどあると言うのか?
アイドル?アニメ?漫画?プロ野球?サッカー?ゲーム?ギャンブル?鉄道?釣り?
それぞれ「とても興味がある人」と「全然興味がない人」の差が大きくて、コミニュケーションが取れません。
「誰もが話題に出来るもの」を見つける方が難しい、そんな世の中になってしまった、と感じていました。
そうなると、自ずとコミュニティの規模が縮小し、狭い範囲の中でしか意思疎通が図れなくなり、結果として「外部の意見」を取り入れられない人が増えてしまう。
そこで「駅」ならばどうだろう?「駅の思い出」を語り合いながらコミニュケーションを取れるのではないだろうか?1日に300万人が利用する新宿駅や周辺繁華街の話題だけでなく、「それぞれの駅の思い出」があるはずだし、「共通の話題のハブ」として機能するのではないか?そう考えました。
【9】どんな形にしようか?
しかし実際に「駅で何かを語れ」と言われても、急には中々難しい。何らかの「きっかけ」が必要です。
そこで「トレーディングカード」の形にしてみたらどうだろうか?と考えたのです。
いずれ「日本全国の駅」のカードが出来るとして、「自分の思い出の駅」を探し求めたり、カードを引いてその駅の思い出を語ったり、出来るのではないだろうか?と。
このプロジェクトを進める上で「全く共通点のない方々」に集まって頂き、モニター調査を行いました。
色々な方に数百種類用意したカードをお見せしながらこの目的を説明すると、全員が目を輝かせて「駅について」語り始めました。
決して「熱狂的な鉄道ファン」ではありません。むしろ「いやー、鉄道はあまり興味ないですね」という方ばかり、です。
ある社会人の方々は、
「あ、○○駅がありますね!おばあちゃんの家がこの近くにあって、夏休みはいつも降りてました!駅前に××デパートがありましたよね!」
「懐かしい。そのデパート、自分も行った事ありますよ。なくなったんですか?」
「おー!実は自分、昔はこの駅の周辺に住んでたんですよ。え?今駅前がこんなになってるんですか?驚き!」
「○○線が通って街が発展したんだと思います。あ、これ、自分の地元の駅です。就職してからはあまり使わなくなりましたけど、毎日学校に行くときに使ってました。本数が少なくて大変なんですよね」
なんて盛り上がり方をしていました。他にも、
「(男子大学生)地元の駅と、今の最寄り駅と、学校の最寄駅と、あと彼女の家の最寄り駅は欲しいかも。それから新宿とか渋谷とか、大きな駅が出たらテンションあがりますね。トレカは好きで、遊戯王とかポケモンは持ってます。これも集めたい。」
「(女子高校生)あ!私のうちの駅!これ、欲しい!(あげますよ)いいんですか?学校の最寄り駅とかもあったら欲しい!ないですか?出たら買います!」
「あと、よく遊びに行く駅のカードも欲しいかも!」
「行った事ない駅でも、これを見て行きたくなるかも。カード引いて出た駅に行く、みたいなのありじゃない?」
「(女子中学生)欲しい!電車とか全然興味なかったけど、綺麗!欲しい!集めたい!」
「いっぱいあるとテンション上がる。良い、とにかく良い。」
みなさん、その場にいる方々と、大盛り上がりでした。
「100人中100人」が、「自分だけの駅の思い出を語れる」のだ、と。
【10】駅は誰にでも馴染み深い。
「鉄道車両のカード」は数多く存在しています。
しかし、調べたところ「駅のカード」はどこにも存在しませんでした。
※その理由は、作っている私がよく知っています笑 中々大変でして、、、笑
そして、おそらくですが「鉄道車両のカード」で色々語れる人って、相当限られて来るのではないか、と思います。
例えば「はい、このキハ183系のカードを見て、何か思い出がありますか?」「思い出の鉄道車両は何系ですか?」と言われたとして、上記に登場した様な方々であれば、
「、、、、」
「????」
「、、、、?のぞみには乗った事があります」
ではないでしょうか?「語れる人」が相当限られて来ますよね。「鉄道ファンの方の話題や知識」に、一般の方は置いてけぼりですからね。
しかし駅は違います。「全く鉄道には興味がない人」でも、語る事が出来ます。そのコミニュケーションの中から、新たなコミニュティが出来る、と確信しました。
【11】社会貢献と理念の達成に向けて。
①社会貢献:関係性が希薄な現代社会において「共通の話題」を幅広く数多くの方々に届ける。
②理念の達成:数多くの方々に、「難しい事」や「苦痛」を通過する事なく、手放しで喜べるアミューズメントな時間を届ける。これらが達成出来る「ハブ」を作る。
今の世の中ではほぼ消滅してしまった、
「ほぼ全員が知っていてそれぞれの思い出を抱えたアイテム」
である「駅」を使って。
コメント